平成12年度裁判所書記官研修所養成部入所試験問題(平成11年8月施行)
第1部
憲法
1問
条例によって、法律で規制されていない事項を規制することができるか、また、法律で規制する事項について法律よりも厳しい規制をすることができるかについて論ぜよ。→参考答案
2問
表現の自由と名誉権について論ぜよ。
民法
1問
Aは、Bに対し、自己所有の自動車を代金100万円で売却した。
1 Aは、この売買契約に基づく代金債権をCに譲渡したが、AはBに自動車を引き渡していなかった。Cへの代金債権の譲渡につき、AがBに確定日付のある通知をした場合とBが異議を留めない承諾をした場合とに分けてBC間の法律関係を説明せよ。
2 Aは、この売買契約に基づく代金債権をCに譲渡し、代金債権の譲渡につきBに確定日付のある通知をした。しかし、その後、Aは、Dに同じ代金債権を譲渡し、Bは、Dへの代金債権の譲渡につきDに異議を留めない承諾をした。代金債権についてのCD間の法律関係を説明せよ。→参考答案
2問
債権成立のときから10年経過した後に債権者から履行の請求をされた債務者が、債務の履行を拒否できないのはどのような場合か説明せよ。→参考答案
刑法
1問
甲は、乙が所有するA建物(住居としては使用されておらず空家状態である。)を壊してしまいたいと考え、乙に無断で、乙代理人甲名義の工事発注書を作成し、建物取壊業者丙に交付した。その後,丙がA建物を取り壊さないことから,甲は,A建物を燃やしてしまおうと考え,A建物に独立して隣接するB物置(乙所有)に火をつけ,その火をA建物に燃え移らせようとして,B物置にガソリンをまいて火を放った。放火当時A建物内には無断侵入者丁がおり,甲は,そのことを知っていたが,火事と分かれば丁はA建物から飛び出すだろうと考えていた。ところが,その後,雨が降り始めたため,火はA建物には燃え移らずにB物件を半焼させただけで消えてしまった。
甲の刑事責任を論ぜよ。→参考答案
2問
原因において自由な行為について論ぜよ。
民事訴訟法
1問
甲は,乙に対し,200万円を貸し付けたと主張して,その返還を求める訴えを提起した。この場合,次の小問に答えよ(各小問は独立した問いとして答えよ)。
1 乙は,第1回口頭弁論期日に欠席したが,「甲から200万円を受け取ったことは認めるが,借りたのではなく,贈与を受けたのである。」との記載がある答弁書を提出した。この答弁書の記載の訴訟法上の意義及びこの訴訟の審理の進め方について説明せよ。
2 乙は,甲が,訴訟として提出した,乙作成名義の借用書について,「成立を認める。」と陳述した。この陳述の訴訟法上の意義について説明せよ。
2問
口頭主義について論ぜよ。
刑事訴訟法
1問
次の場合裁判所はどうすべきか論ぜよ。
1 検察官は、被告人Aの詐欺罪の起訴状に、被告人の同種前科の事実を記載して起訴した。
2 検察官は、被告人Aの詐欺罪の公判において、犯罪の客観的要素を立証するため同種前科の判決書謄本を証拠請求した。
3 検察官は、被告人Aの詐欺罪の公判において、故意を立証するため同種前科の判決書謄本を証拠請求した。→参考答案
2問
自白を内容とする被告人の供述調書の証拠能力について論ぜよ。
2部
憲法
1問
司法権の独立について論ぜよ。
2問
経済的自由権について論ぜよ。
民法
1問
Aの子Bは,Aから何らの代理権を授与されていないにもかかわらずAの代理人として,Aが所有している甲土地を従兄弟であるCに売却し,代金の支払を受けてC名義の所有権移転登記をした。
Aは,Bが甲土地を売却したことを知ったが、経営している事業の業績が悪化していたため、債権者からの強制執行を免れるためにはかえって好都合であるし、甥であるCが買主であれば代金を返しさえすればいつでも登記名義は回復できると考え、この登記を放置していた。
その後,Dは,登記薄上の記載からCが甲土地の所有者であると信じ、Cから甲土地を買い受け,代金を支払って所有権移転登記を得た。
AD間の法律関係について説明せよ。
2問
金銭債務の不履行につき損害賠償請求をするための要件について説明せよ。
刑法
1問
甲は,殺意を持ってAを殺害した上,Aの持っていたバッグを取った。次の各場合における甲の刑事責任を論ぜよ
1甲が.当初からAのバッグを奪う目的でAを殺害した場合
2甲が,当初はAのバッグを奪う目的はなかったが、殺害した後泥棒の仕業に見せかけようと考え,Aのバッグを取り,それを近くの川に投げ捨てた場合→参考答案
2問
罪刑法定主義について論ぜよ。
CP
憲法
第1問 国の財政に関する国会の権能について説明せよ。
(50点)
第2問 裁判を受ける権利について説明せよ。
(50点)
民法
第1問 Aは,Bから,B所有の甲建物を自ら居住するために代金1000万円で買い,所有権移転登記を得た。しかし,Bは,Aに甲建物の引渡しをしておらず,Aも,Bに代金の支払をしていなかった。
この場合,次の小問について説明せよ。
(1)AがBに対して甲建物の引渡しを求める権利としては,どのような権利が考えられるか。
(2)Aは,Bに対し,売買契約に基づいて甲建物の引渡しを求めた。Bは,これを拒み得るか。
(3)甲建物は,契約後,隣家からの延焼により焼失した。Bは,Aに対し,代金の支払を請求できるか。
(50点)
第2問 心裡留保,通謀虚偽表示及び錯誤の共通点と相違点について説明せよ。
(50点)
刑法
第1問 甲が,乙に対し,「A宅に侵入して金目の物を盗み出してくれぱ買い取ってやる。」とそそのかしたところ,乙は,その気になり,盗みに入ることにした。しかし,乙は,B宅の方が金目の物があるだろうと考えてB宅に侵入したところ,Bに発見されたので,その場にあった包丁をBに突きつけてその反抗を抑圧し,B所有の宝石を奪い取った。甲は,Bのものと知って乙から宝石を買い取った。
甲及び乙の刑事責任について論ぜよ(ただし,銃砲刀剣類所持等取締法違反の点は除く。)。→参考答案
(50点)
第2間次の事項について説明せよ。
(1)有印公文書偽造罪(刑法155条1項)における文書の「偽造」
(2)窃盗罪(刑法235条)における「財物」
(50点)
民事訴訟法
第1問 Xは、Yに対し、甲土地を代金2000万円で売ったと主張して、2000万円の支払を求める訴えを提起した。
次の場合、裁判所は、どのような判決をすべきか。
1 Yは、この訴訟の口頭弁論期日において、Xから甲土地を買ったのはZであるから、代金支払義務を負わないと主張した。証拠調べの結果、Xから甲土地を買ったのがYであるか、Zであるか、いずれとも心証が形成できなかった。
2 Yは、この訴訟の口頭弁論期日において、Xから甲土地を買ったことはなく、仮に買ったとしても、それは要素の錯誤により無効であるから、代金支払義務を負わないと主張した。証拠調べの結果、YがXから甲土地を代金2000万円で買ったことは認められるが、それに要素の錯誤があったか、なかったか、いずれとも心証が形成できなかった。
(50点)
第2問 攻撃防御方法の提出時期に関する適時提出主義について説明せよ。
(50点)
刑事訴訟法
第1問 巡回中の警察官は,路上で騒いでいた甲に対し,職務質問をしたところ,甲がすきを見て逃げ出したので,追跡して背後から腕に手をかけて停止させ,甲の承諾なしに,その着衣のポケットからビニール袋入り覚せい剤を取り出し,覚せい剤所持の現行犯人として甲を逮捕するとともに,その場で,令状なしに,その覚せい剤を差し押えた。その後,甲は,覚せい剤をみだりに所持したとして起訴され,検察官は,甲の犯行を立証するため,差し押えられた覚せい剤の証拠調べを請求した。捜査の適法性と覚せい剤の証拠能力について論ぜよ。→参考答案
(50点)
第2問 刑事訴訟における挙証責任について説明せよ。
(50点)