平成20年度裁判所書記官研修所養成部入所試験問題(平成19年7月施行)
第1部
憲法
1問 予算に関する国会の権能について論ぜよ。(50点)
2問 集会の自由とその限界について論ぜよ。(50点)
民法
1問
Aは,Bが経営する食堂のアルバイト店員であるが,仕事中,過失によって客Cの洋服にコーヒーをこぼしてしまった。Cは,洋服のクリーニング費用を請求したいが,誰に対して,どのような請求をすることができるか。(50点)
2問 消滅時効と除斥期間の相違点について論ぜよ。(50点)
刑法
1問
警察官が,甲を被疑者とする適式に発布された逮捕状に基づいて,甲を逮捕しようとしたところ,甲は,警察官から告げられた被疑事実が全く身に覚えのないものであったため,警察官に暴行を加えた。この場合の甲の罪責について論ぜよ。
(50点)
2問
刑法36条1項の「急迫不正の侵害」について論ぜよ。(50点)
民事訴訟法
1問
Xは,Yを被告として,平成8年5月1日付け金銭消費貸借契約(弁済期同年12月31日)に基づく貸金200万円の返還を求める訴えを提起した。これに対して,Yは,同契約締結の事実(請求原因事実)を否認して争ったが,裁判所は,同事実が認められるとの心証を形成した。
裁判所が,消滅時効の主張(抗弁)をしないYに対し,その主張を積極的に促すことの当否について論ぜよ。
(50点)
2問 訴えにおいて請求の特定が必要とされる理由について論ぜよ。(50点)
刑事訴訟法
1問 殺人被告事件において,検察官が,立証趣旨を「犯行状況」として,司法警察員甲が捜査段階で作成した,被告人による犯行再現状況の結果を記載した実況見分調書の取調べを請求したところ,被告人は,証拠とすることに同意しない。
裁判所がこの実況見分調書を採用することの可否について論ぜよ。
(50点)
2問 刑事訴訟において公平な裁判を保障するための制度について論ぜよ。(50点)
第2部
憲法
1問 内閣の法律案提出権について論ぜよ。(50点)
2問 知る権利について論ぜよ。(50点)
民法
1問
Bは,Aから同人所有の土地(以下「本件土地」という。)の売却について代理権を与えられ,Aの代理人として,Cに対し,本件土地を代金1000万円で売った。この売買契約は,Bが,本件土地売却代金を着服してBの借金の返済に充てる目的で締結したものであり,買主であるCは,そのようなBの意図を知っていた。
CがAに対して本件土地の引渡しを請求した場合,この請求は認められるか。(50点)
2問 弁済の提供について,具体例を挙げて論ぜよ。(50点)
刑法
1問
甲は,深夜歩いていた際,前方に乙が飛び出してきたため,実際には,乙は先を急いでいただけであったのに,乙を強盗犯人と思いこみ,自己の身体を守るため,乙を突き飛ばす暴行を加えた。
甲の刑事責任について論ぜよ。
(50点)
2問
刑法130条前段の保護法益について述べた上,「侵入」の意義について,具体例を挙げて論ぜよ。(50点)
CP
憲法
1問 権力分立について論ぜよ。(50点)
2問 地方自治体が管理職任用試験の受験資格を日本国籍を有する者に限定した場合における,憲法上の問題点について論ぜよ。(50点)
民法
1問 Bは,Aに対し,C所有の土地(以下「本件土地」という。)を,もうすぐBがCから譲り受ける予定であると説明した上で売った。ところが,Bの交渉に不手際があり,BがCから本件土地を取得できなかったため,Aは,同土地の引渡し及び所有権移転登記を受けることができなかった。この場合における,AのBに対する本件土地売買契約の解除の可否及び損害賠償請求の可否について論ぜよ。(50点)
2問 土地の賃借権に基づく妨害排除請求について論ぜよ。(50点)
刑法
1問
甲は,金品窃取の目的でA宅に侵入した上に,たんすの引出しを開けて金品を物色中,帰宅したAに発見されたため,何も取らずに逃げ出した。しかし,A宅から約10メートルの地点で,すぐさま追いかけてきたAに取り押さえられそうになったため,Aを殺害してでも逮捕を免れようと考え,殺意をもって,Aの首を絞めてAを殺害し,逃走した。
甲の罪責について論ぜよ。(50点)
2問 幇助犯が処罰される根拠について述べた上,共同正犯と幇助犯がどのようにして区別されるかについて論ぜよ。(50点)
民事訴訟法
1問
Xは,Yを被告として,「Xは,Yに対し300万円を弁済期(確定期限)を定めて貸し付けた。」と主張し,貸金300万円の返還を求める訴えを提起した。
Yは,第1回口頭弁論期日において,Xの請求を棄却すると答弁した上,「XがYに対し300万円を貸し付けたことは否認する。」と述べた(他に証拠はないものとする)。
この事案に関し,裁判所が,証拠調べの結果,次のとおりの判決をすることの可否について論ぜよ(各小問は独立した問いとする。)。
1 XがYに対し300万円を貸し付けたことは認められるが,Yが弁済期に全額返還したと認定して,Xの請求を棄却すること
2 XがYに対し300万円を交付したことは認められるが,これは贈与であると認定して,Xの請求を棄却すること
(50点)
2問 攻撃防御方法の提出時期について論ぜよ。(50点)
刑事訴訟法
1問 窃盗教唆の事実について審理していたところ,窃盗の共同正犯に当たるとの心証を抱いた場合,裁判所としてはどのような措置をとるべきか。また,窃盗教唆の事実から窃盗の共同正犯の事実に訴因変更された後,検察官から,再度,盗品等譲受けの事実に訴因を変更したい旨の請求があった場合,裁判所としてはどうすべきか。(50点)
2問 甲,乙を共同被告とする事件において,甲の有罪を認定するために,次の各証拠を用いることができるか(各小問は独立した問いとする)。
1 甲と犯行を共同実行した旨の供述が録取された,乙の捜査段階における検察官に対する供述調書
2 公判廷において,乙が,検察官の質問に対しては甲と犯行を共同実行した旨の供述をし,これを争う甲の弁護人の反対質問に対しては一切答えなかった場合の,乙の供述
(50点)