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名誉毀損罪と侮辱罪の共通点,相違点について論ぜよ(一部H8年度1問)。

1 共通点について
(1) 保護法益
 名誉毀損罪と侮辱罪は,共に名誉を保護法益とする犯罪である。
 名誉は,ア内部的名誉,イ外部的名誉,ウ名誉感情に分類されるが,名誉毀損罪と侮辱罪は,共に,このうちのイを保護法益とするものである。
 この点,侮辱罪は,上記ウの名誉感情を保護するものであるとする見解もあるが,法文の文言に「公然」という要件があること,名誉感情や名誉意識を持たない幼児,法人等についても,その外部的名誉を保護すべきであることから,侮辱罪についても上記イの外部的名誉が保護法益であると考える。そして,両罪は,法文の文言の相異から,事実の摘示の有無により区別されると考える。
(2) 親告罪
 名誉毀損罪と侮辱罪は,共に親告罪である(232条1項)。
2  相違点について
(1) 事実の摘示
 上記のように,両罪は事実の摘示の有無により区別される。すなわち,名誉毀損罪は事実を摘示して外部的名誉を低下させる場合であり,侮辱罪は事実を摘示せずに外部的名誉を低下させる場合である。侮辱罪は,このように事実を摘示せず,名誉侵害の程度が小さいことから,名誉毀損罪よりも軽い法定刑になっているものである。
 ここでいう事実とは,内容の真偽を問わず,また,公知非公知を問わないが,ある程度具体的な内容を含むものでなければならず,単なる価値判断や評価だけでは事実とはいえないと考える。
(2) 真実の証明による違法性阻却
 名誉毀損罪においては,摘示された事実について真実であることの証明があった場合,正当な言論の行使として,一定の要件のもとに,違法性が阻却されるとして,雇人の名誉の保護と,表現の自由の保障の調和が図られている(230条の2)。 これに対し,侮辱罪においては,事実の摘示が構成要件ではないことから,このような規定がおかれていない。
(3) 死者の名誉
名誉毀損罪においては,死者の名誉も保護される(230条2項)が,侮辱罪においては保護されない。

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